スマイルハウスの省エネ性能および「ZEH」を計算しました。
使用した計算プログラム等は以下のとおりです。
住宅省エネ性能計算ソフト(2023.11月版)YKK AP
エネルギー消費性能計算プログラム住宅版(詳細入力)(Ver3.5.0)建研
省エネ性能判定計算書(Ver2.2.0)日本ERI
(敬称略)
註1.「ZEH」
ZEHの定義は、断熱等級でのZEH/ZEH+があり、それぞれUA値(0.6/0.5)とがありますが、H31年のZEHの定義(改訂版)<戸建住宅>エネルギー量の削減率100%とするを「ZEH」とします。
千葉県(6地域) 木造枠組み壁工法 総2階建て 床面積120.22㎡ 外皮面積305.32㎡を標準住宅としました。
モデル0から4まで計算しました。
モデル0 BEI等 |
断熱等級4 2×4(単板ガラス) UA値 0.84W/㎡K BEI=1.00 エネルギー削減率=0% |
モデル1 BEI等 |
断熱等級6 スマイルハウス 2×4(YKK AP330) UA値 0.46W/㎡K BEI=1.00 エネルギー削減率=37% |
モデル2 BEI等 |
断熱等級6 スマイルハウス 2×6(YKK AP430) UA値 0.32W/㎡K BEI=1.00 エネルギー削減率=42% |
モデル3 BEI等 |
断熱等級7 スマイルハウス 2×6(YKKAP 430)+付加断熱 UA値 0.24W/㎡K BEI=1.00 エネルギー削減率=44% |
モデル4 BEI等 |
断熱等級7 スマイルハウス 2×6(YKKAP 430)+付加断熱(+太陽光) UA値 0.24W/㎡K BEI=1.00 エネルギー削減率=87% |
断熱等級4の家から新築住宅への建て替えを検討している方向けに、モデル0とモデル1~3の一次エネルギー消費量を大まかに比較します。。
UA値 | 1次エネ GJ | kWh | 円 | 消費額(年) | モデル0からの | モデル1からの | |||
削減額(年) | 削減額(月) | 削減額(年) | 削減額(月) | ||||||
モデル0 | 0.84 | 73.4 | 277.78 | 30 | ¥611,672 | ¥0 | ¥0 | ||
モデル1 | 0.46 | 44.6 | 277.78 | 30 | ¥371,670 | ¥240,002 | ¥20,000 | ¥0 | ¥0 |
モデル2 | 0.32 | 32.6 | 277.78 | 30 | ¥271,669 | ¥340,003 | ¥28,334 | ¥100,001 | ¥8,333 |
モデル3 | 0.24 | 30.1 | 277.78 | 30 | ¥250,835 | ¥360,836 | ¥30,070 | ¥120,834 | ¥10,070 |
モデル4 | 0.24 | 17.6 | 277.78 | 30 | ¥146,668 | ¥465,004 | ¥38,750 | ¥225,002 | ¥18,750 |
売電と削減額の合計 | 売電額(年) | 合計(年) | 月額 | ||||||
モデル4(売電) | 15.7 | 277.78 | 15 | ¥65,417 | ¥290,419 | ¥24,202 |
1次エネルギー消費量はGJ(ギガジュール)を単位として表されます。
GJを電気エネルギーに換算する場合、1GJは277.78kWhに相当します。
電力消費量の単価は30円/kWhとして、今後の電気料金の変動は考慮せずに計算します。
モデル0からモデル1への建て替えにより、エネルギー費用がBEIの計算によれば、表に示される通り、年間で61万円から37万円へと、約24万円の削減が見込まれます。これは、「建て替えにより光熱費がほぼ半分になった」というoお客様からの声にも表れています。。
モデル1(2×4)とモデル2(2×6)を比較すると、BEIの試算によれば年間の光熱費が37万円から27万円に削減され、10万円の節約が可能となります。
モデル2へのアップグレードには、窓工事、基礎工事、木工事、断熱工事が必要となり、追加で約150万円の費用がかかります。
150万円を10万円/年で割ると15年になり、モデル2(2×6)は約15年で投資した追加費用を回収することができます。。
モデル2の住宅では、住民が窓をあまり開けなくなったとのことです。お客様によると、窓を開けない方が快適だと感じているようです。
また、モデル1の住宅では、冬に暖房を強くすると2階の寝室が暑くなりすぎるとのことで、モデル1にも十分な断熱性能が備わっています。。
モデル1とモデル3(2×6+追加断熱)を比較すると、年間の光熱費を37万円から25万円に削減でき、年間で約12万円の節約が可能です。。
モデル3(付加断熱付き)にするには、基礎工事、木工事、付加断熱工事の追加が必要です。おおよその追加費用は170万円で、150万円(モデル2)と合わせると、新築時には合計320万円の追加が必要になります。。
モデル3は、追加費用を回収するためには25年以上かかります。
断熱区分地域6では、付加断熱を加えて断熱等級だけ無理に上げても、1次エネルギー消費量の抑制を期待できません。
表からモデル1とモデル4(2×6+付加断熱+太陽光)では37万円(年)から14万円(年)に削減できています。
年間で光熱費が23万円ほどお得です。
自家消費以外は売電するすることになりますが、予定では6万ほどなので、合計で23+6=29万円となります。
モデル4にするためには、モデル3に太陽光発電と蓄電池が必要です。追加費用ははおおよそ300万円なので、新築時合計320+300=620万円の追加が必要です。
モデル2は、追加費用を回収するためには15年ほどでしたが、モデル4は620万円/29万円(年)=21.3(年)なので、21年程度で回収できることになります。
ただし モデル4は、20年を目安に太陽光と蓄電池の更新の費用が発生します。更新費用は足場費用・屋根補修費用・廃棄費用が追加となり380万円ぐらいが必要ではないかと思います。
620+380=1000万円なので、1000/29=35.7 36年目に費用回収ができ、予定通りにいけば40年目の更新までは29万円x4年=116万円がお得となる計算です。
資金回収の長期間と設備更新の煩わしさに耐えられず、中には自分の二回目の新築住宅には絶対に太陽光発電を導入しないと決めているお客様もいらっしゃいます。
長々書きましたが、住宅への思いや考え方(投資、消費、趣味)がモデル1から4に反映されています。
当社としてはモデル0からモデル1の2×4住宅やモデル2の2×6住宅とし、高効率な設備機器を使用することが一番コストパフォーマンスがよいのではないかと考えています。
住宅費用を投資、消費、または趣味として捉えるかは慎重に考える必要があります。投資として捉えるならば、必要な設備や機器への投資や更新が求められます。一方で、耐久消費財として考えるなら、外壁や屋根の塗り替え、設備の交換だけを考慮すればよく、これにより投資ととらえた場合の精神的な負担も軽減されるかもしれません。趣味としての場合は、それは自由です。。